御立尚資 / 使う力

 創刊されたPHPビジネス新書の一冊。出張時の新幹線で読むために購入。
 この新書の第一弾は他にも大前研一堀紘一中谷巌の本が出ていたのだが、大前研一の本は従来からの主張の焼き直しであり、語学が大事、財務が大事などと言うだけなので却下。堀紘一の本はなんとビジネスパーソンの悩みに対するQ&A形式の説教本なので、こんなものは読まない(雑誌『THE21』の「堀紘一のビジネスマンに喝!」が元になっているとのこと)。中谷巌は『入門マクロ経済学』というよりも、とにかくあの愚著『eエコノミーの衝撃』の著者という印象が強いため、手に取る気も起きない。
 というわけで、本書『使う力』。「知識」だけでなく、「使う力」が必要だという話。
●「使う力」の到達目標は次のふたつ。
 1.様々な情報を加工・統合して、正しい意思決定をすること。
    → 企画力+(意思決定における)人間力
       企画力=課題設定力×情報収集力×分析力×創造力×統合力
       人間力=自己観照力とか勇気とか (よく分からん)
 2.人と組織を動かし、結果を出すこと。
    → モチベーション喚起力×規律徹底力×仕組み構築力
●「使う力」を身につけるための取っ掛かりとなるスキルは、上記1と2をざっくりと「頭の使い方」と「心の使い方」に分けて整理されている。
 1.頭の使い方
   ・ベーシックスキル: ロジカル・シンキング、図解の技術、モデル構築
     → どれも構造化に関わるもの
   ・応用スキル   : 定量化、グラフ発想、クリエイティブ・シンキング
     → どれも創造力に関わるもの
 2.心の使い方
   ・ベーシックスキル: プレゼンテーション、ファシリテーションネゴシエーション
   ・応用スキル   : アクティブ・リスニング、コーチン
     → 「心の使い方」全体がどれも他者の視点に関わるもの
 実際には上記のほかに、日々の仕事のなかで使う力を鍛えなさいという内容もあるのだけれど、それは省略。すっきりと全体感を持ってまとめられているので、分かりやすい。車内読書にはもってこい。

使う力 知識とスキルを結果につなげる (PHPビジネス新書)

使う力 知識とスキルを結果につなげる (PHPビジネス新書)