THE DISCIPLES JAPAN TOUR @ RADIX 2004/08/13/Fri.

UKニュールーツの旗手THE DISCIPLESの日本公演。MCにJONAH DANを率いての来日。
ニュールーツとは、UKで発達した電子音を積極活用するルーツレゲエのこと。日本のMighty Massaも明らかにニュールーツ系の音を響かせているが、THE DISCIPLESはそれ以上に強力だ。衝撃的なダブサウンド。この音響体験を何と言えばいいだろうか。会場を揺さぶる重低音ベースが身体を根底から蝕み、しがみ付いて離れない強迫観念のようなダブエフェクトが脳髄を覆い尽くす。不気味さと甘美さが一体となったかのような音楽。
前座は1945 a.k.a. KURANAKAとROOTS AMBASSADOR 。今回のRADIXにはROOTS AMBASSADORのサウンドシステムが持ち込まれていたのだが、これがまたすばらしい。巨大な壁のように構築されたサウンドシステムから圧倒的な音量で鳴らされる音楽は、RADIXの暗い箱を一気に深度1万メートルの深海に変えてしまう。また、今回のROOTS AMBASSADORの演奏もすばらしかった。
しかし、今回はなんと言ってもTHE DISCIPLESだ。UKニュールーツはほとんど詳しくないのだが、ハマってしまいそうな予感がする。ぜひもう一度体験したい。

加賀野井秀一『知の教科書ソシュール』(講談社)

講談社選書の知の教科書シリーズの一冊。ソシュールについて復習するには最適な一冊。ソシュールの生い立ちから思想的核心だけでなく、ソシュール以後の展開についてもコンパクトにまとめられている。本格的に言語学の勉強までは手が回らないという人にお勧め。プラハ学派、コペンハーゲン学派、フランス機能学派などの展開については、この本以上に追いかけるのは大変だと思う。音韻論などは、そもそも興味を持てる人がかなり限られるジャンルなのではないか。

柄谷行人インタビュー「資本・国家・宗教・ネーション」 『現代思想』2004年8月号

トランスクリティーク』以降の柄谷行人の思想的展開に関するインタビュー。この手のものは既に多く出ているので、特に新たな知見が得られるわけではないものの、近年の柄谷の理論も気になる人には必読ではある。だが、インタビュー形式の常として、実のところ普遍宗教において現れるユートピアの場としてのXについて納得しきれるだけの説明はなされていない。やはり流し読みではなく、『トランスクリティーク』をきっちりと読まなきゃいけないと再認識。ところで、長期波動的不況については国家はどうすることもできないという部分など、経済学的な突っ込めみどころは今回も満載なインタビューではある。実際、この手の内容については、近経学者は真面目に突っ込み、議論を活性化させていけばいいと思うのだが、どうも柄谷行人と近経学者とは全面的議論にはならない。

富士通ラーニングメディア『「100%の結果」が出る! パソコン情報整理術』(三笠書房知的生き方文庫)

この種の整理法は人によって最適なやり方が異なり、また個々人が手探りで既にいろいろとやっているだろうから、すべて役に立ったという訳にはいかないのではないか。だが、いくつかの視点は参考になった。例えば、デスクトップ画面を右側と左側で違ったファイルを置く、企画書提案書はお客様別のフォルダ以外にも企画書の水平展開用に素材集というフォルダにもコピーして入れておくなどは、なるほどという感じ。
フリーソフトの入手先に「ダウンロード@nifty」だけを挙げ、「窓の杜」を挙げないなどの狭量さは少し気になるものの、あっという間に読めるので一読しておいて損はないのではないか。

西山昭彦『本気ではじめる大人の勉強法』(中経出版)

ビジネスマンのビジネスマンによるビジネスマンのための勉強法。実際に試行錯誤しながら試みた人の報告として参考になることが多い。要するにビジネスマンに何が必要なのかを見極め、きっちりと勉強しろという話なのだが、具体的にどのような勉強が必要であり、勉強のための手段としてどのようなものがあるのかに至るまでが、個人的な体験をもとに意見を述べており、説得力がある。自分の趣味としてのホテル研究やグルメ道の話の自慢の部分は、まぁご愛嬌(笑)。
しかし、著者は毎日、必ず日経新聞をすべて読み、一般経済誌も『週刊ダイヤモンド』『週刊東洋経済』『日経ビジネス』『日経ビジネスアソシエ』や『週刊現代』『日刊ゲンダイ』や『プレジデント』を読んでいるらしいのだが(もちろん他にも各種論文や書籍を読んでいるらしい)、新聞雑誌だけでここまで目を通していると時間がなくなってしまってもったいないと思うのだけれど…。
西山昭彦の著作については、2004年7月22日の日記も参照。