エイドリアン・シャーウッド @ Club MAGO 2005/05/28/Thu.

 エイドリアン・シャーウッドは1時15分頃に登場。会場は満員だが、予想以上に若人多し。会場を盛り上げる選曲はさすがに売れっ子だけのことはあり、ツボを押さえたものだが、ダブを楽しみに行っている場合には少し物足りない。要するにいわゆるクラブサウンドの枠内に過不足なく収まってしまっていると言えば言いすぎだろうか。
 後半はほとんどドラムンベース。ジュニア・リードの名曲"ワン・ブラッド"までもが高速ドラムンベースになっていた(笑)。ルーツ・レゲエの傑作に相応しい強烈な印象を残す曲なのだが、そうであるがゆえに単に踊らせるネタ的な扱いになってしまうのは少し悲しい。

アイルランド人だろうがイギリス人だろうが
中国から来ようが日本から来ようが
血はひとつ、血はひとつ

 

ペドロ・アルモドバル / トーク・トゥ・ハー

 『アモーレス・ペロス』(監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ)と二本立てのオールナイトを見てきた。『トーク・トゥ・ハー』はもちろん既に見てはいるのだが、カエターノの姿を見たいと思い、見に行くことに(笑)。
 端的に冒頭と最後のピナ・バウシュの公演シーンとカエターノ・ヴェローゾの演奏シーンだけでも泣けるのだが、現代的な愛(?)を古典的なメロドラマの手法で見事に演出しきっている力量はさすが。
 

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アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ / アモーレス・ペロス

 はじめてみたが、非常におもしろい。ドキュメンタリー的なテイストを残すカメラでもって残酷な現実が描写されていく。物語はロンド形式という形式(要するに、ある物語でチラッと登場する人物が別の物語では主役になっているというやつ)が採用されているのだが、主役たちには単に同じ街に暮らしているというだけの関係しかない。だが、それらの相互に無関係な登場人物たちが皆、徹底的に孤立し孤独であるために、メキシコ社会の現実の残酷さが際立つ。
 主役たちは皆、本人ないし近しい周りの人が犬を飼っているのだが、それらの犬も悲惨な運命をたどることになる。人間も犬もいわゆる犬の生活(チャップリン)というやつだ。メキシコからアメリカに不法入国しようとしているのだろうか、主人公の一人である老人が犬とともに立っている、向こうに都会が見える荒涼とした荒野の光景も圧巻だ。
 ロック・エン・エスパニョール(スペイン語ロック)を中心とした映画音楽も印象に残る。サントラを探してみようっと。
 

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ウェス・アンダーソン / 天才マックスの世界

 『ロイヤル・テネンバウム』の鬼才ウェス・アンダーソンの佳作。特に何がおもしろいという訳ではないのだが、微妙なユーモアが堪らなく良い感じ。例えば、画面の奥のほうで小さく、ビル・マーレーが走って逃げているような演出につい神経が緩んでしまう。
 サービス満点な映画などではない。おそらく監督はすべてを理解させようと思ってはいない。そうであるがゆえに観客はそれぞれ思い思いのところで笑っていたりする、そんな映画。主人公マックス自身がマイペースな妄想系なのだから、観客もそれでいいのだ。
 

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ジョン・カーペンター / ゴースト・ハンターズ

 文句なし。ジョン・カーペンターはどれを見てもハズレなし、余裕綽々の名人芸だ。カート・ラッセルとのコンビならなおさら。物語はアメリカのチャイナタウンを舞台に霊力を持った超人に戦いを挑むというどうでもいい話だが、カッコよくキメル場面が目白押し。チャイナタウンの街並みの美術もお見事。いつもの如く、終わり方の適当さ加減も最高。
 

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