グルダの軽やかさ

フリードリヒ・グルダ / プレイ・ピアノ・プレイ
グルダ自作の曲を初めて聴いたのだが、こんなに軽やかな曲を書く人だったとは驚いた。収録曲のなかの「アリア」などはきらめくように美しいメロディだし、「プレイ・ピアノ・プレイ」などは軽やかなジャズだ。
グルダはその変人ぶりではおそらくクラシック界最強のピアニストだ。奥さんともども舞台の上で素っ裸になったこともあるらしい。演奏もあるときからジャズに傾倒してしまい、クラシックの曲をジャズっぽく弾いたりするようになってしまった。道を外れてしまった彼が幸福だったかどうかは知らない。だが、この彼の小品にはささやかな幸福が漂っている。